家庭の味
家庭の味は何かと聞かれ
一番最初に思い浮かぶものは
卵巾着だ。
湯通しした油揚げを半分に切り
中を開けると丁度、巾着みたいな見かけになる。
そこに生卵を落とし入れ
爪楊枝で口を締める。
あとは甘醤油でクツクツ煮込むだけ。
この料理は母の母、
祖母から受け継いできたもので、
私はこの料理が大好きだ。
私だけじゃない。私の姉妹や、
父や、祖父や、姉の恋人も私の恋人も大好きな料理だ。
卵アレルギーの人以外は絶対好きになる
自信があるくらい万人受けする料理。
そんな愛着のある卵巾着は
いつしか母の味を離れ
アレンジを加えた私の卵巾着になっていった。
そもそも母はとても大雑把なので
味は安定しないし、レシピも分量もわからないので
自分流になるのは当たり前の話ではあるけれど。
私の卵巾着は、卵と挽肉の2種の巾着。
これは恋人に出す時、流石に卵だけじゃなあ…と考え、
思いつきで入れてからずっとこの形に。
ちなみに姉は卵だけの巾着で、
一緒に大根を煮込むそうだ。何と無く姉らしいなと思った。
私の家には伝統はなければ、
家族で一緒に何かすることも殆どないけれど、
この卵巾着があれば何と無くそれでいいかなとたまに思う。