オレンジ道路橋
高校時代の帰り道、急な坂を乗り越えると大きな道路橋が在った。
田舎では23時に走っている自動車は滅多に居ない為、いつも1人で橋を渡っていた。
急な坂を乗り越え、一息着くと真っ直ぐ伸びる道路橋が視界に広がる。
アスファルトと車線を照らすのはオレンジ色の光、橋の入り口から終わりまでびっしり並ぶ電灯。
あまりの数に私までオレンジ色に染まってしまう。
その光の中を全速力で駆け抜けるのがとても気持ちが良かった。
ふと、右を向けば川があるはずだが、今は底の見えない暗闇が広がる。
もう少し奥へ目を伸ばすと、私の街がほんのり光っていた。
今からあそこへ帰っていくんだ。と何だか嬉しい気持ちでいっぱいになりますます車輪の速度が上がる。
歩道・自転車用の道を走りながらチラリと左を見てはうずうずした。
誰も居ない大きなアスファルトの真ん中を一度で良いから走ってみたい。
いつかいつかと思いながら、私は高校を卒業し、あの道を自転車で夜に走る事は無くなった。
いつかまた、あの道路橋を自転車で走る事があるのだろうか。