にけニッキ

ねこの14日間

ブラックコーヒー会社

会社を辞めた。現在、無職である。
無職で自由気ままに、お鍋をコトコト鳴らしながら
煮物作りに精を出している。

会社を辞めた理由は、至極簡単に会社がブラックだったからだ。

毎日苦しく胃が痛い...と言うわけではないが、
常にモヤモヤが心の中で渦巻き、時に爆発し
「もういい!辞めてやる!」を繰り返す、
多少の多が多めのつらさであった。

友達と勤め先の話になると
「まあ...ニケに比べたら私の仕事なんて...」
「よく辞めないよね。」
「ニケちゃん見てたら自分の仕事ツライなんて言えないよ...」と
よく言われた。

おいおいそんなにか。そこまでなのか?と思うほど、
私の会社の評価は悪かった。

新人入社は私だけだったので、
おのずと雑用係は私の役目になった。
雑用の中に毎朝コーヒーを作る項目があり、
規定通りの作り方でスプーンすり切り6杯の
コーヒーを毎朝淡々と作っていた。

 

マイ・カップを持参して飲む人、紙コップを使う人、
非常階段で飲むことを日課としている人...みんなそれぞれルールや癖があった。
ちなみに私はコーヒーが飲めない。ブラックコーヒーなんて以ての外だ。

 

紙コップを使うTさんは、
紙コップを3〜5つほど重ねて飲む。
使用済みコーヒーカップの山を片付ける策として、
紙コップを重ねて使うことに落ち着いたのだと説明を受けた。
もちろんそれを聞いた社員一同「捨てろよ!!」と突っ込んだ。

 

Iさんのコーヒーカップは飾り棚のオブジェと
化していることが多かった。

飾り棚がトイレの近くにあるため、
トイレの前に飾り棚に置く。
そしてトイレから出て、カップを回収しないまま
デスクに戻ってしまう。
さらにそのまま2〜3日放置される事もよくある。
いつコーヒー・カップを回収するのか?
地味に社内でチェックされていた。

 Sさんはコーヒーを飲まない。
当初誰も気が付かなかったのだが、社員の誰かが
「最近Sさんコーヒー飲まないですね。」
と言って発覚した。
するとSさんは当たり前だと言う顔で
「飲まないよ。毎日(コーヒーをいれる魔法瓶を)漂白してたからね。
魔法瓶の底ってすっごいんだよ!汚れがいっぱい!だから飲まない。」
と熱弁してくれた。

確かに魔法瓶の底には茶渋のようなものがくっついていた。
なら最初から言えばいいのに、厭な男である。
ブラック会社で働きながらブラック・コーヒーを作り続けた私は、
結局自分の作ったコーヒーを一滴も飲まず退社してしまった。
アレはどんな味がしたのだろうか。